医療?健康
自由行動下マウス脳の長期活動を捉える新たな解析手法を開発

脳内の神経活動を解析する新しい手法により、自然に活動する動物脳内の神経活動を99日間以上追跡することが可能になりました。この技術は、撮影のセッションをまたぐデータを高精度に解析できます。記憶の仕組みや神経疾患の進行解明に役立つ重要な研究ツールとして期待されます。
自由に行動し、自然な睡眠を取るマウスの脳内神経活動を可視化するための手法として、超小型顕微鏡によるカルシウムイメージングが広く用いられています。しかし、この手法は、複数のイメージングセッションをまたぐ神経細胞集団の分析において、セッション毎に変化する撮影視野や脳組織の微細な変形を扱うことができず、集団内の同一の細胞を正確に対応付けることが困難でした。
本研究ではこの課題を解決するために、新たな解析手法「CaliAli(Calcium Imaging inter-session Alignment)」を開発しました。CaliAliでは、各解析で撮影されたさまざまな情報を段階的に利用して画像の位置のずれを補正し、すべての解析データを柔軟に重ね合わせて連結動画を構築します。連結された動画に対して、最適化したアルゴリズムで神経信号を一括抽出し、ノイズや重複検出を自動的に排除する機能も備えています。この手法により、一般的な超小型顕微鏡を用いて同一の神経細胞集団を、最大99日間にわたり継続的に追跡?記録することに世界で初めて成功しました。CaliAliは、記憶形成?保持のメカニズムや、神経疾患の進行といった長期的な神経活動の変化を解明するための強力なツールとして期待されます。
PDF資料
プレスリリース研究代表者
中国福利彩票,中国福彩官网医学医療系/国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)坂口 昌徳 准教授
掲載論文
- 【題名】
-
A comprehensive suite for extracting neuron signals across multiple sessions in one-photon calcium imaging.
(複数セッションにまたがる1光子カルシウムイメージングから神経信号を抽出する包括的手法) - 【掲載誌】
- Nature Communications
- 【DOI】
- 10.1038/s41467-025-58817-z
関連リンク
医学医療系国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)